箱、POPの製造工程で重要な工程が「打ち抜き加工」です。印刷された用紙を箱の展開図や、スイングポップのような用途の形状に切り抜く加工が「打ち抜き」工程です。
木型代とは?
打ち抜き加工工程では、木型と呼ばれる抜き型を使用して用紙を切り抜きます。木型とは読んでそのまま、木の板に刃型が埋め込まれているもので、これを機械で押し当てる事で紙を切り抜くのです。紙箱の見積もりで「木型代」と記載されているのはこのことを指します。通常木型代は数万円、高いものでは10万円以上かかります。木型は再利用が可能なので初回注文時のみに必要な費用となります。
木型の価格を決めるのは刃の長さ
前述のように、木型代は数万円かかるのが普通で初期費用の大きな部分を占めています。このコストを決める要素が刃の長さです。つまり、刃の長いものほど高くなるという構造なのです。刃の長さは、①紙箱の形状、②紙箱のサイズ、②いくつを面付けするか、によって決まります。つまり、複雑な形状ほど高くなり、サイズが大きくなるほど高くなるという事です。ここまでは分かり易いのですが、③の面付けによって価格が変わる、というのが理解をしにくいと思います。これは、1枚の印刷紙にいくつの箱の展開図をつけるかという事です。例えば、2つつけると、刃の長さは1つの倍となりますので木型は高くなりますが、印刷枚数は半分になりますので印刷費用は安くなるのです。
例)5000個の紙箱を製造する
1面付け:木型代は安くなるが、印刷枚数、打ち抜き枚数は5000枚必要となるため高くなる
2面付け:木型代は高くなるが、印刷枚数、打ち抜き枚数は半分の2500枚で済むため安くなる
そのため、木型を作成する場合には印刷コスト、打ち抜きコストとのバランスで面付け数を決める必要があるのです。この判断は、よほど専門的に勉強していない限りお客様ですることはできないので、業者に任せることが多くなるようです。
打ち抜き加工とは
打ち抜きを行う機械には、大別すると①全自動タイプ、②手差しタイプ、③CADカット、④レーザーカット、の4つの方法があります。
①全自動タイプ
全自動タイプは、その名の通り印刷機と同様に紙をセットして打ち抜きの圧力調整、ムラ取りなどを行い全自動で搬送していく方法です。1時間に5000枚~10000枚という高速での加工ができる反面、セッティングに時間がかかるため大量生産アイテムに向いた方法です。
②手差しタイプ(ビク抜き)
手差しタイプは、一般的にビク抜きと呼ばれる機械で1枚1枚手で差して打ち抜きを行う方法となります。セッティングが簡易な反面、1時間当たり500枚~1000枚程度の生産性となりますので小ロットに向いた生産方法です。
③CADカット
厳密には打ち抜きではないのですが、CADカット機という機械を使用して木型を作成しないでカットや罫線を入れる方法です。アームで刃物が動いてカットする機構ですので生産性は著しく低くサンプルを作成する場合や20-30個程度の製造を行うのに適した方法と言えるでしょう。
④レーザーカット
最新の打ち抜き加工技術にレーザーカットがあります。こちらもCADカット同様に厳密には打ち抜きではないのですが同様の加工が可能です。つまり、刃物でカットする部分をレーザーでカットする技術で刃物を使用しないので物理的な木型が不要な最先端デジタル技術となります。罫線(折り線)を搬送経路で行うため簡易な型が必要となりますが従来の木型を製造するコストを半分程度に抑えることが可能です。近年のデジタル技術の進歩により1時間当たり2500枚ほど通紙できる機械も出てきおり、次世代の打ち抜き技術として注目されています。
適切な業者選定を行うには?
以上のように、抜き加工は単純に見えて非常に複雑なコスト構造になっています。そのため、安易に業者を選定するとその業者の作成しやすい方法での見積もりとなることがありコスト高となってしまう場合があります。適切な業者選定を行うには、本コラムに記載したような基礎知識を持ってどのような機械で加工しているかを確認するのもひとつの方法だと思います。
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